中国・アジアの工場進出情報

2013.8.1・15 Vol.25 No.14
フォーカス
メコン新興国の現状と課題
ミャンマー、カンボジア、ラオス

 昨年からブームが続いているミャンマーに加え、カンボジア、ラオスに対する注目が高まっている。「新・新興国」「CLM」(カンボジア、ラオス、ミャンマーの頭文字)とも呼ばれる3カ国だが、それぞれの国を単体で見るとそれほど魅力的な投資先ではない。インフラの未整備は言うに及ばず、不足する教育、未熟な法制度、不安定な国内情勢などマイナス面を挙げれば切りがない。
 もちろん「6,000万人超の人口を抱え将来的な市場として高い潜在力を持つミャンマー」「外資による投資環境が極めてオープンなカンボジア」「陸運の主要拠点たるラオス」と魅力を上げることはできる。しかし「今すぐ進出すれば誰でも大儲け!」などという新天地では決してないし、それどころか「とくにねばり強さと忍耐が必要」な進出先と言える。
 ある日系商社マンは「着工したばかりのディズニーランド」とミャンマーを評したが、これは他の2カ国にも当てはまる表現だろう。

 だが、メコン経済圏すなわちベトナムやタイも含めた経済圏の中の3カ国という視点で見れば、その魅力は大幅にアップすることになる。ASEANの統合、すなわち2015年の「ASEAN共同体」が確立すれば、それぞれの地政学的、労働者供給力などを活かしたASEAN全体で構成されるグローバルサプライチェーンの中に組み込まれていく可能性が高い。すでに人件費が高騰し余剰労働力が不足するタイからの移転、タイではメリットを享受できなくなった産業や企業の3カ国への移転も始まっている。こうした「タイプラスワン」と「チャイナプラスワン」は今後加速していくことは間違いないが、その受け皿候補としてこの3カ国が挙げられており、そうなれば新たな産業の集約地として発展していくだろうことを予想することは難しくない。
 今特集ではこの3カ国の現状と魅力、日系企業の進出状況を紹介する。


ミャンマー、ラオス、カンボジアを展望する
大メコン経済圏を結ぶ物流網
 多国間陸運サービスにやっと光明が見えた
ミャンマーは本当に"狙い目"なのか?
 ミャンマー経済・投資センターの米村紀幸理事長に聞く
[ミャンマー進出事例]住金物産
 現地繊維製品企業を買収し事業体制強化
  中国一極集中のリスク分散/早期700万枚体制目指す
[ミャンマー進出事例]フォーバル
 ヤンゴン内の工業団地情報データベース化
  現地提携企業リスト作成に着手/進出目的見極め必要
日本からの投資増は継続
[カンボジア進出事例]
 ミネベアと日本電産
  HDD部品の生産で5,000人雇用
[カンボジア進出事例]アクリーティブ
 プノンペンに経理事務アウトソーシング拠点
  設立半年で立ち上げ/優秀な現地スタッフ確保が奏功
ラオス SEZに期待集まる
[ラオス進出事例]トヨタ紡織、ニコンなど
 タイ補完工場として進出〜GSP・安価な人件費魅力
  タイ大洪水教訓にリスク分散/社会インフラ分野でも進出の動き
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