中国・アジアの工場進出情報

2020.8.1・15 Vol.32 No.14
ビジネスレポート
諦めモードが多いタイの日系製造業

 バンコク近郊の10社ほどの日系自動車・2輪部品メーカーに対する私のネット取材も含めたインタビューでは全社がそろって前年比7割もの受注ダウンが続き青息吐息であることがわかった。タイの日系自動車組立メーカーも軒並み7割の販売減。タイ工業連盟(FTI)自動車部会が6月に発表した5月のタイの自動車生産統計でも前年同月比で69.1%減の5万6,035台(4月は同83.6%減)とほぼ7割ダウン。FTI調査の今年1〜5月は、昨年同期間比40.2%減の53万4,428台だったなど、タイの日系自動車産業は「コロナ」襲来でかつて経験したことがない最悪の事態に陥っている。1,000人を超える従業員を抱える日系自動車部品工場でも工場閉鎖、タイ撤退を考えているところがある。7月に入って新たに操業を全面休止し従業員全員の出勤停止を決めた日系工場もある。バンコク郊外で長く操業するある日系の自動車業用の射出成形部品メーカーでは4月から売上高が前年比で3の1に激減、7月に入っても底が見えない。同社の社長は「派遣社員15名の全員を契約解除、正社員もまず25名を解雇、6月にさらに12名を解雇して社員を半減させた」と説明、「今後も縮小に次ぐ縮小で危機に耐えるしかない」「タイに長くいるがこんな状態は初めて。先がまったく見えないのが苦しい。いつまで(会社が)持ちこたえられるかわからない」(同)としている。
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