中国・アジアの工場進出情報

2019.9.15 Vol.31 No.16
ビジネスレポート
タイ東北部でワニ養殖から皮革最終製品まで作る日本女性

 イーサーンと呼ばれるタイ東北部のロイエットでワニの養殖、屠殺、鞣(なめ)し、着色からカバンなど日本市場向け皮革製品の最終製品までを一貫生産をしている日本人女性がいると聞き、その人、名古屋で装飾品販売店を経営する頓宮久美子(とんぐう・くみこ)さんを県庁所在地ロイエット市から車で2時間ほどかかるポンサイ村に訪ねた。ロイエットはバンコクから500キロほどで、エアアジアの国内線が日に3便とバンコクを夜にでて朝につくバスの深夜便がある。ロイエットはタイでワニ革用のワニを養殖する県として知られているが、頓宮さんはロイエットで唯一の外国企業として同地の工業団体に加盟、地元貢献のためにも奔走している。ロイエット県でワニ革なめしをしているのも、ワニ革の最終製品まで製造しているのもタイ人を含めて今のところ頓宮さんしかいない。ロイエットで養殖されているワニを塩蔵での輸出のために大量に買い付けに来るタイ人の業者が力任せに値切って買い取っていくため、ロイエットのワニ養殖業者の利益はきわめて小さい。ロイエットでワニ養殖連盟の会長らと会見したが、ちゃんとした利益が出せるようにするために、従来のタイ人経営の支配から抜け出てワニ皮の個別ユーザーを探して直販する方法も模索し始めている。「頓宮さんの指導でなめし工場を作り、日本品質でワニ革を製品化できれば付加価値がつく」と会長らロイエットのワニ業界が頓宮さんに寄せる期待はきわめて大きい。
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