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2019.4.1 Vol.31 No.6
ビジネスレポート
スーチー国家顧問の就任4年目でも紛争だらけ ミャンマー

 アウン・サン・スー・チー国家顧問(以下スーチー氏)率いるミャンマーのNLD(National League for Democracy、国民民主連盟)現政権は去る3月末から5年任期の4年目に入った。2018年の補欠選挙で大幅に議席を失ったNLD政権が危機感を高める中で国民の審判が下る2020年の総選挙は来年に迫った。スーチー氏とNLDに不満をいだく新党も相次ぎ結成されているが結党された新党の指導者には元はスーチー氏の支援者だった人が多い。ミャンマーのテレビの司会者で人気があるティンザー・シュン・レイ氏もその1人で、軍と一体となって民主化運動の妨害さえするスーチー氏を厳しく批判している。スーチー氏が政権を握った当初、経済面などでミャンマーは明るくなるというのが大方の予想だった。だが、スーチー氏の政権では前テイン・セイン政権下で相次いだ通貨の一本化などの思いきった経済政策がまったく出せずに経済を低迷させているだけでなく、スーチー氏自らが「ミャンマー最大の問題」とする国内の20を超える少数民族武装勢力との和平交渉もまったく進展せず、各地で反政府軍との戦争状態が続いている。テイン・セイン政権はほとんどの政治犯の釈放、最大の反政府武装勢力のカレン民族同盟と停戦といった実績を残したが「何もできない」現政権とスーチー氏に対し反政府軍もそっぽを向き始めた。スーチー氏はかつて、民主化運動のリーダーとして国軍と対決し続けたが、自身が政権を握れる確信ができたとたんに国軍との協調姿勢に方向転換、自らが座る大統領の椅子の獲得や民族問題解決に向けて国軍の譲歩を引き出そうとしてきたが、国軍はスーチー氏にことごとく非協力の姿勢を続けておりスーチー氏の当初の目論みは失敗に終わっている。
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