中国・アジアの工場進出情報

2018.10.15 Vol.30 No.18
ビジネスレポート
ブルネイビジネスの難しさ
ハラル食品生産でマレーシア進出の検討も開始

 世界に約18億人いるとされるムスリム(イスラム教徒)人口だが2030年には22億に増えると予想されている。それは世界人口の3割近くにあたり、世界のムスリム向けハラル商品の市場はすでに年3兆ドル規模とされる。この巨大な市場をブルネイから狙うパイオニア企業がソイ&ワールド(東京都港区六本木 WEB:www.soyandworld.jp)で大豆加工の特許技術を持ち、大豆加工食品の企画製造販売を行っている。同社が2013年からブルネイの首都であるバンダル・スリ・ブガワンから車で1時間ほどのトゥトン地区にブルネイ初の外資によるハラル食品製造の工場として進出、その経営を軌道に乗せるまでの成功について以前のAMRで紹介したことがある。ところがこのブルネイ工場が今春から操業停止に陥っている。ブルネイ工場を任されていた日本人駐在員が日本に引き上げ、しかしいつでも生産再開できるように工場のメンテナンスだけは続行しているのが現状。進出当初にはブルネイの担当大臣自らが世話をしてくれるなどブルネイ政府の強力な支援を得ながら工場の立ち上げに成功した。しかし進出した翌年に同社を担当してくれた省庁が統廃合で無くなった。また、ブルネイから輸出しようとした際に3社ある中国系海運会社から利益が消し飛ぶフレート(海上輸送運賃)を請求され輸出が不可能となり経営難に直面した。ソイ&ワールドの三坂大作社長は「当社が東南アジアでのハラルビジネスから撤退することはない」と説明、ブルネイでの事態解決とマレーシア進出を軸に対応策を進めている。
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