中国・アジアの工場進出情報

2018.10.1 Vol.30 No.17
ビジネスレポート
ミャンマーNLD政権2年半、折り返し点での現状《下》
「きわめて複雑な国」問題解決の糸口さえ見えない

 ミャンマー政府の外国投資受け入れ機関であるDICA(国家計画経済開発庁投資企業管理局)は2019年に58億米ドルという控えめな外国投資を見込んでいるのは、「ロヒンギャ問題」で欧米がミャンマー投資を止めることを織り込んだからだ。ミャンマーが民政化されて最初のテインセイン政権下の2015年に年100億米ドル近くまで高まったミャンマーへの外国投資認可額だが、DICAによればスーチー政権1年目である2016年度に30億ドル程下げて66億ドル、2018年3月までの2017年度は57億ドルと2年連続で下がってテインセイン政権時代の半分近くに減少したが、下げ止まってはいない状態が続いている。与党の国民民主連盟(NLD)政権をこれまで2年半率いてきたアウンサンスーチー国家顧問兼外相も「ミャンマー最大の問題」と考えている20を超える少数民族武装勢力との和平交渉もまったく進展していない。これらはスーチー氏の統治能力の欠如としてミャンマー国内外で指摘されるようになり、「スーチー氏が(権力に)いる限りミャンマーはよくならない」という声が増えている。2020年に予定される総選挙ではNLDに対する失望が結果に表れそうだ。
掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。著作権は鰹d化学工業通信社に帰属します。
(C)The Heavy & Chemical Industries News Agency, all rights reserved