中国・アジアの工場進出情報

2015.7.15 Vol.27 No.13
ビジネスレポート
中小企業のタイ進出の“落とし穴”

 周辺(サポーティング)産業と呼ばれる日本の部品メーカーのタイ進出は円安時代の到来で減少傾向にはあるものの依然として続行中。しかし従来にない大きな変化は、近年タイに進出した日本の中小企業の半数以上もがタイでの事業に失敗、撤退していると見られる点だ。その背景には日系製造業だけで数千社もが進出しているタイだが、これまでにコスト、品質、納期といった能力で普通レベルの日本の中小企業ではとてもかなわないほど優れた純タイ企業が多数育ったことがあげられる。その現状をきちんと把握しないまま「日本企業が多く出ているのだから当社も新たな道が開けるだろう」などと安易に考えて進出した日本の中小企業の中には、タイで期待した仕事が得られず、進出前には予想もしなかったタイ企業の下請けに不本意ながらなってなんとか生き延びるケースもある。日本ではティア1(一次下請け)の中小企業がタイに進出し日本で取引している大手に挨拶回りに出かけたところ「今頃何しに来たの?」と言われ、タイでも期待した仕事も受注できずに、ショックを受けている。タイに来たときは新聞発表などで決意を語るが、撤退は恥ずかしいのでひっそり何時の間にか、進出して1年足らずで運転資金が底をついて撤退している。
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