中国・アジアの工場進出情報
2015.7.1 Vol.27 No.12
産業アナライズ<自動車>
中国自動車技術のレベルを探る・その1
自前のエンジンいまだ現れず
自動車技術での完全自立が中国政府の悲願である。かつて自動車産業の草創期には旧ソ連に頼り、80年代半ばには日米欧の自動車メーカーからの技術導入へと進路を変え、21世紀に入ってからはエンジニアリング会社の活用や開発委託なども選択肢に入れてきた。一方、自動車技術者の育成は中国国内の大学だけでなく海外の大学や企業への留学、海外在住の中国系技術者の招へいも含めて取り組んできた。80年代半ばを中国自動車産業の「再スタート」と位置付ければ、現在は30年目に当たる。その時代から中国自動車産業を取材してきた筆者の目で見れば、発展には目覚ましいものがある。しかし、世界を横並びで見れば中国はまだ技術的に自立しているとは言えない。自動車メーカー経営陣は「自前の技術は必ずしも必要ではない。我われがこれから基礎研究分野を手掛けても到底、日米欧には追い付けない」との認識を持っている。彼らには資金力があり技術の購入が現在の主流だ。すでに年間2400万台、いずれ3000万台超えが予想される巨大市場だけに、技術と商品を提供してくれる企業は「絶えることはない」と考えている。これが世界の自動車販売台数の3割を占める自動車消費大国としてのスタンスである。今回から3回にわたって、現在の中国の技術的実力を点検してみる。まずはエンジンから。
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