中国・アジアの工場進出情報

2015.6.1 Vol.27 No.10
産業アナライズ<自動車>
世界小型車戦争・その3
インド市場の変遷

 10年以上も前から「将来有望」と言われながらも、インドの自動車市場はまだ350万台(年度ベース)に届いていない。乗用車と多目的車(UV=ユーティリティ・ビークル)の合計が200万台を超えたのは2010年度から12年度までの3年間と14年度の4年間だけであり、しかも一本調子の増加ではない。しばしば踊り場を経験する。とは言え、現地に工場進出している自動車メーカーからは「中国のような急激な伸びではなく健全かつ地道な伸びである点は好都合だ」との声も聞こえてくる。中国ほど流行が急速かつ同時多発ではなく、市場の好みは段階を踏みながら多様化している。「比較的好みを予測しやすい市場だ」という。現在もその過程にある。主力はエンジン排気量1000cc前後の小型車であり、安価なHB(ハッチバック)と車室から独立したトランクを持つ4ドア・セダンとが好まれる。自動車が財産である点はかつての日本と変わらない。そういう考え方の中で、少しずつ嗜好は変わってきている。
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