中国・アジアの工場進出情報

2015.3.15 Vol.27 No.5
産業アナライズ<自動車>
中国「新エネルギー車」の行方・後編
国内のパワートレイン開発促進へ

 2020年に乗用車の平均燃費を走行100km当たり5ℓ(日本式の表記では10km/ℓ)とし、排ガスは欧州と同等の基準にする――中国政府が打ち出している環境性能の目標は、2010年以前に比べると相当に高いレベルにある。しかも燃費については企業別平均燃費(CAFE=コーポレート・アベレージ・フューエル・エコノミー)が適用され、未達成の場合の罰則も設けられる。過去、中国政府は「中国企業に不利になる規制は行なわない」ことを不文律としてきたが、20年に向けての規制は「技術を吸収せよ」とのメッセージであり、自動車産業自立に向けた政府の意思とも受け止められる。そして、中国政府がねらっているのは、通常の内燃機関を積む乗用車の技術レベル向上だ。「クリーンな省エネ車」と言うと、日本では電気自動車やハイブリッド車を思い浮かべるが、これらは世界の主力ではない。需要の中心は既存のガソリンエンジンとディーゼルエンジンであり、輸出市場をにらんだ国内体制の強化がこの環境規制強化の背景と見るべきだ。
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