中国・アジアの工場進出情報

2014.7.1 Vol.26 No.12
安積敏政のアジア経営戦略講座
=第35回=
アジアのファストファッション市場参入の課題と展望

低迷する日本の衣料品市場
 日本の「失われた20年」と言われる1990年から2010年を経て2013年までを対象に、衣料品売上高の推移を経済産業省の商業統計から見たものが図1である。衣料品売上高は、「紳士服・洋品」、「婦人・子供服・洋品」、「その他の衣料品」、「身の回り品」の4項目から構成されている。この23年間に売上高は約半分に縮小した。この背景には、衣料品に対する家計支出の低下や紳士服の価格破壊に見られるような急激な単価下落、カジュアルファッションの流行による中高額品の買控えなど様々な要因がある。さらに、消費者が衣料品を購入する場所も従来の百貨店や総合スーパーからファーストリテイリングのユニクロのような衣料品専門店へとシフトしている。消費者のブランドや価格に対する価値観も大きく変化してきた。中長期的な消費回復の兆しが見えないまま、今後も限られた市場の争奪戦が業態間や同業者間で企業の体力と知恵をかけて繰り広げられる。
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