中国・アジアの工場進出情報

2014.4.15 Vol.26 No.7
投資環境スタディ
ラオス最新事情

 海にまったく面しない内陸国であるラオスは、タイ、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、中国(雲南省)という大メコン圏(=GMS=Greater Mekong Subregion)のすべての国と国境を接している。ラオスは人口が670万の小国で、2020年までに後発国(LDC)から脱け出たいというのが国家方針。ラオス計画投資省上級顧問で首相府永久顧問の鈴木基義教授によれば、ラオスの1人あたりのGDPは1004米ドルでタイの同4992ドルに比べて約5分の1。カンボジアの同814ドル、ミャンマーの同742ドルよりは高くベトナムの同1174ドルよりは低い。ラオスは1997年にASEAN(東南アジア諸国連合)に、2013年2月にはWTO(世界貿易機関)にも正式加盟、インドシナの閉ざされた国(Land Locked Country) から(Land Linked Country)へと変貌中。2012年に38社だったビエンチャン日本人商工会議所の会員数はこれまでに64社になり、「タイプラスワン」でタイから投資した日系企業も多い。鈴木基義教授の調査では、タイの工場の給与が月244ドル(最低賃金である300バーツ×26日=7,800バーツ=244ドル)で、ラオスの工場では78ドル(月62万6,000キップ=78ドル)と賃金格差は3.1倍。上記に手当、食事代、通勤費を含むが、賞与(タイでは1〜8カ月分支給されるがラオスはゼロ)や慶弔の支給を含めれば4.3倍の差になる。近年まで工業団地さえ皆無だったラオス各地に経済特区(SEZ)が整備され、日本企業専用の工業団地さえ各地に準備されている。このような日本企業のラオス投資急増を背景にJETRO(日本貿易振興機構)も近くラオスで初の事務所をビエンチャンに開設する。
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