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産業アナライズ<自動車> |
自動車産業界M&Aとアジア/その4
ローバー、双龍、巡り巡って中国へ |
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中国の「威(ロエベ)」ブランドは、経営破綻した英・MGローバーを買収した上海汽車(以下SAIC)がMGローバーの知的財産を活用して立ち上げたものだ。SAICは米・GMおよび独・VW(フォルクスワーゲン)と合弁事業を展開する一方で、独自ブランド立ち上げのため外部から技術を吸収する方法を選んだ。筆者の試算では、この両社に支払われた「技術料」は邦貨換算で1,600億円程度である。双龍への49%出資に支払われた額は約500億円、経営破綻したMGローバーに支払われた知的財産権の取得料は約1,380億円と、それぞれの契約がまとまった時点では報道されたが、実際に支払われた現金はこれよりも確実に少ない。MGローバーからは生産設備も取得しており、自前で乗用車を開発・生産するための投資としては安価である。しかし、近年はもっと安価に技術を調達できる例が増えている。SAICはいま、中国の国営自動車グループのなかでも技術力はトップであり、そのほとんどはM&Aで得た。現在、中国の自動車メーカーはさまざまな機会を通じて技術取得を進めているが、人的資産も獲得できるM&Aは、依然として最良の技術獲得手段と言える。 |
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