中国・アジアの工場進出情報
2011.11.15 Vol.23 No.20
産業アナライズ<自動車>
東日本大震災とタイの洪水が
日本の自動車産業に投げかけた問題
タイでの洪水が日本の多くの製造業に打撃を与えている。タイに生産が集中している部品や製品がいかに多いか、多くの日本人が痛感している。自動車を例に挙げれば、80年代末に始まったアセアンBBC(ブラント・トゥ・ブランド・コンプリメンテーション)、その後のCEPT(共通効果特恵関税)、AICO(アセアン産業協力)、そしてAFTAという流れのなかで、アセアン域内だけでなく各自動車メーカーのグローバルなサプライチェーンの一環を担うようになった。いまやタイは車両生産拠点だけにとどまらず、部品やユニットを集中生産する立場にある。洪水の水が引いても、設備を復旧し元の生産体制にもどるまでには時間がかかる。ごく希にしか発生しない自然災害がもたらした「集積のリスク」ではあるが、今後に備えて考えなければならないことは多い。集中によるコスト低減をねらいながら、どのようにリスク対応するか、である。「自動車の設計手法そのものを変えなければならない」という声も聞こえてくるほどである。
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