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安積敏政のアジア経営戦略講座 |
=第2回=
アジアにおける製造業とサービス産業の収益性比較 |
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1.1 圧倒的収益源になったアジア
図1は東京証券取引所一部に上場している企業(金融・新興市場を除く)の地域別営業利益について1998年度から2009年度(2009年4月〜2010年3月期)の12年間の推移を示したものである。従来、トヨタ自動車、ホンダ、日産といった自動車会社の米国での躍進もあり、北米、中南米を合計した「米州」の営業利益がトップであり、日本企業の海外の営業利益を力強く牽引していた。対象企業1,748社の2007年度の連結ベースの営業利益は21兆円のうち、日本国内が約14兆円、海外が約7兆円であり、日本対海外の地域構成比は2対1である。2007年度は海外営業利益の内で、中国、ASEAN、インドを中心としてアジア(3兆716億円)が、初めて米州(2兆2,342億円)を上回った。これは象徴的な出来事である。この背景には右肩上がりのアジアの経済成長の中で、日本企業が生産・販売の両面で現地の事業規模を拡大し競争力をつける一方で、サブプライムローンに端を発した金融危機の中で喘ぐ米国で販売急減に直面しているという構図がある。 |
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