中国・アジアの工場進出情報
2011.6.15 Vol.23 No.11
ビジネスレポート
タイで職人肌経営の台湾人起業家2人
―― モルダー・エンタープライズ社の陳社長
バンコクの郊外に金型とカットソーメーカーとして進出、日本企業を主要顧客に活躍する台湾人経営者の2工場を訪問する機会があった。モルダー・エンタープライズ社の陳正宗(CHEN CHENG TSUNG)社長と、TEAN FUREテキスタイル社の廖為宗(LIAO WEI TSUNG)社長である。一見、タイで製造業を営む台湾人だという点以外には共通点がなさそうなこの2人が似ている面が多いことに気づいた。この両人は工場のオーナー経営者であるにも関わらず、名刺に肩書きがまったくない。どの国にも根っからの職人がいるがこの台湾人2人も職人社長と言えそうなタイプ。両社ともに日系を中心とした一流企業向けの仕事をこなしている。2人ともタイに来て就職、タイ人女性と結婚してから独立している。しかし2人とも「工場を大きくすることは重視しない」マイペースで、工場拡大は基本的に考えていない。陳社長は「休息を重視しながら、ゆっくりやっていきたい」などとサバイ・サバイ(タイ語で気楽に気楽に)の生き方でタイ人化している面もあるが、工場は「テニスボールを作る金型では世界のほとんどのシェアを抑えている」すごい会社。一方のTEAN FUREテキスタイルの廖社長も「この道一筋37年。私の経験から、カットソーであればどんな相談にも応じられる」と言い、今年から従来とはまったく異業種の日系自動車向けシートの生産も開始した。
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