中国・アジアの工場進出情報

2009.6.1 Vol.21 No.10
華人企業家の夢と野望
制度疲労を起こした「タイの民主主義」(下)
――タクシンによる"失地回復運動"の裏側に潜む危機

 92年5月の「5月事件」の収拾に至る動きは、結果として国王とプレム枢密院議長のあまりにも大きな政治的存在感を内外に明確に示すこととなった。あの時、2人が不在であり、政府(+国軍)と民主派勢力の両者のみであったなら混乱は容易に収拾せず、タイは内外に決定的なマイナス・イメージを与えていたであろう。プレムが根回し役を演じ、対立する双方の象徴的存在であったスチンダー首相とチャムロンを国王の前に跪かせたからこそ、最悪の事態が回避され、国王の揺るぎない威信がタイを救ったわけだ。
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