「100年に一度の危機だ」といわれる世界的金融危機に晒される中で、11月から中国の経済、雇用動向に関する報道が多くなってきた。新聞によって内容が異なり、「中国経済悲観論」と「中国経済楽観論」に分かれている。中でも特に『産経新聞』掲載の「中国2月危機説」がどうしても気になる(『産経新聞』08年11月19日)。「億単位の人々が故郷へと移動する来年1月の旧正月までに、株価と不動産価格の下落に歯止めをかけ、広東省の深セン地区などでの工場閉鎖、倒産の連鎖を食い止めないと、中国の中間層が崩壊し、暴動が爆発的に増加しかねない」というのは、同紙が挙げた「中国2月危機説」の根拠である。同紙はこれまでに「中国崩壊論」や「中国経済危機説」をたびたび流してきており、いずれも事実と大きく異なっていた。したがって、この「中国2月危機説」も別に驚くに値する目新しいものではない。中国経済、雇用の状況は果たして新聞報道でいうように悪化しているのか、また、米国発の世界的金融危機、世界同時株安は中国経済と雇用にどのような影響を与えているだろうか、第4部は、この問題を中心に分析する。 |