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2018.9.15 Vol.30 No.16
ビジネスレポート
ミャンマーNLD政権2年半、折り返し点での現状《上》

 ミャンマーではアウンサンスーチー国家顧問兼外相が率いるNLD(National League for Democracy、国民民主連盟)政権がスタートして今月(9月)末が5年任期の折り返し点となる。無法状態だった法律の整備については遅々としながらも進んでいるが、多額の資金を必要とする道路、初の深海港、国際空港といった外国投資を呼ぶ込むために最も重要なインフラ整備が遅れに遅れている現状を見てミャンマー投資に関心があるタイの日系企業経営者が「ミャンマー投資は時期尚早」と断言した。ウィン・ミン前下院議長が2018年3月末に大統領に選出されたが、「スーチー氏の操り人形」とされた前大統領に比べて実務的にベターのようだがほとんどの決定権はスーチー氏が握ったままのようだ。経済成長に欠かせない外国投資が現政権になって以来、前年を下回る低迷が続いているだけでなく政権を担って2年半なっても思い切った経済政策が出せない。ラカイン州では1年前にイスラム教徒の「ロヒンギャ族」を銃で脅して数カ月の間に70万人もの「ロヒンギャ族」を隣国バングラデシュに追い出して世界に衝撃を与えたが、この問題を解決できない現政権に反発する欧米は観光や投資を減少させている。スーチー氏は国軍との対決姿勢から協調姿勢に変えたが国軍はこれに乘ってこず、スーチー政権との対立姿勢を強めるばかり。これらはスーチー氏の統治能力の欠如としてミャンマー内外で指摘されている。1988年の民主化運動のリーダーだったコー・コー・ジー氏が新政党「人民党」を結成したがまだ結成したばかりで有力野党ではない。
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