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2017.11.1 Vol.29 No.19
ビジネスレポート
遠のくミャンマー・ラカイン州の開発 「ロヒンギャ」問題深刻化で

 ミャンマー西部、天然ガスなどの資源が豊富で経済特区(SEZ)の開発も決まっているラカイン(旧アラカン)州の経済開発がますます遅れそうだ。バングラデシュと国境を接する地域でのイスラム教徒の「ロヒンギャ」が弾圧される問題が2017年8月末以来、過去最大規模に拡大、国連の発表で少なくても50万人以上もの「ロヒンギャ」がたった数週間でバングラデシュに避難するという大きな混乱の中にあるからだ。前テイン・セイン政権時代の2014年1月に制定された改正経済特区法に基づいてヤンゴン郊外に完成稼働しているティラワ経済特区 (SEZ)の他、南部のダウェイSEZ、ラカイン州のチャウピューSEZの3つのSEZ開発を決めているが、現状のラカイン州では「ロヒンギャ」迫害問題からそれどころではない。しかしラカイン州の問題解決について、投資誘致を担当するミャンマー政府のDICA(投資企業管理局)幹部の「外国投資が増えれば(ロヒンギャ問題は)解決に向かう」というコメントがミャンマーの新聞に掲載されている。筆者も昨年のラカイン州各地を訪問して「ロヒンギャ問題」の背景には同州の貧窮問題があると考えてきた。ラカイン州以外のミャンマーの地方都市で「ロヒンギャ」ではないイスラム教徒と仏教徒間の暴動が過去に何度も起きているがその背景も貧窮の不満の矛先を異教徒に向けたものだった。資源の多くが眠ったままのラカイン州の現状を経済面からまとめてみた。
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