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2017.9.1 Vol.29 No.15
ビジネスレポート
八方塞がりのミャンマーの少数民族問題

 ミャンマーではアウンサンスーチー氏(以下スーチー氏)のNLD(国民民主連盟)政権が2年目に入っているが、ミャンマーで最大の問題とされる少数民族問題がますます八方塞がりとなってきている。シャン、カチン、モン、チンなど少数民族名を掲げる省が多いミャンマーだが、ミャンマー人口統計省によれば140近い少数民族がいる。活動中の反政府武装勢力が20ほどあり、その半数以上との停戦協定が結ばれていない。軍出身のテイン・セイン前大統領の指導によりミャンマーの主要な武装少数民族8軍との停戦協定(NCA)署名が2015年10月までに実現、NLD政権になってからもスーチー氏を先頭にNCAを進める努力を続けているが国軍の協力が得られないこともあって新たな署名に結び付かない。民族融和を目指すスーチー氏の意向を無視して国軍による反政府軍への攻撃が続き、反政府軍の各勢力が共闘するという新たな動きもでてきた。少数民族が多い点でミャンマーと似ているベトナムでは過激な反政府活動は皆無、タイでは少数民族の同化も進み最南部のイスラム過激派を除けば反政府武装勢力はない。しかしミャンマーでは反政府武装勢力との「内戦」が続いており前途は多難だ。
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