中国・アジアの工場進出情報

2015.12.15 Vol.27 No.22
産業アナライズ<自動車>
新興国の「小さなクルマ」にディーゼルを
初の自社開発に出たスズキの戦略

 1気筒当たり排気量396.5cc。軽自動車の660cc3気筒ガソリンエンジンの220ccよりは大きいが、350㎖入り缶ビールよりも小さいこのシリンダーをふたつ並べた2気筒ディーゼルエンジン(DE)「E08A」は、現在では自動車用DEの世界最小排気量である。2015年6月にインドのマルチスズキは、このDEを積む乗用車「セレリオ」を発売した。通常の800ccガソリン仕様に比べてDE車は邦貨換算で13万円ほど割高になるが、10月末までに約4500台が売れた。当面はインド専用のエンジンだが、5年を経て開発したDEを2気筒だけに終わらせるはずはなく、当然3気筒1200cc、4気筒1600ccという発展性を考慮した設計と思われる。現在、アジアの新興国の中ではインドがもっともDE普及率が高く、この地でトップシェアを持つスズキとしては、まだDE車が存在しない800ccクラスで先行しようというねらいがある。初の自車開発DEをこの排気量帯に設定したのはいかにもスズキらしいが、同時にこのDEは技術的に見ても非常に興味深い。
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