中国・アジアの工場進出情報

2015.11.1 Vol.27 No.19
産業アナライズ<自動車>
新興国の自動車産業は育たない?
排ガス規制強化が抱える問題点

 インドが自動車排ガス規制を強化しつつある。全国のうち7つの州で従来のユーロ3規制より厳しいユーロ4規制をことし導入、政府はいずれインド全土で同規制を導入する意向だ。中国では政府がユーロ5の早期導入を打ち出し、本年末に同規制の対象都市を現在の北京と上海から広州など8都市へ拡大する。来年6月にはさらに導入地域を拡大する予定だ。アジアで排ガス規制がもっとも進んでいるのは日本であり、つぎが韓国。中国はそう遠くない将来に日韓のレベルに追い付くだろう。これを少々遅れてインドが追い、ASEANも徐々に規制強化へと向かっている。過去の例から見ても「環境」がからむ規制に「緩和」はあり得ない。自動車メーカーは否応無しに対応を求められてきた。その一方で、強化される規制を乗り越えるための技術開発が自動車を進歩させてきた張本人であることも事実だ。しかし、新興国での規制強化のスピードが速くなると、地元資本の自動車メーカーおよびサプライヤー(部品メーカー)の技術力では間に合わず、外資に助けを求めざるを得なくなる。自動車産業での「独立」は難しくなり、同時に輸出の道は「より排ガス規制の緩い国」だけが対象になる。結局、海外企業の技術力に頼るか、下請け工場になるか、あるいは身売りするかの選択肢しか残らない。
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