中国・アジアの工場進出情報

2014.9.15 Vol.26 No.16
産業アナライズ<自動車>
中国車が静かになった理由
金属の「熱処理」が性能を変えた

 筆者が初めて中国ローカル自動車メーカー製の乗用車に試乗したのは15年前だった。「思うように真っ直ぐ走らない」「変速するたびに変速機のギヤが引っかかる」「ギヤ音や風切り音がうるさい」「「シート座面の柔らかさが均一ではない」など、外資の支援を受けていないローカルブランド車は、10年以上乗った日本車でもここまでひどくはないだろうと思わせるレベルだった。しかし、近年はまったく違う。商品力と呼べるものを身に付けている。数年前からMT(マニュアル・トランスミッション=手動変速機)付き乗用車のうるさいギヤ音やエンジン音が静かになり始め、昨年の新型車ではボディの出来も良くなった。もちろん、同じローカルブランドの間にも、あるいは価格帯によっても体感性能にはかなりの差があるが、確実に進歩を遂げていることだけは間違いない。その進歩を裏で支えているのは、外資のエンジニアリング会社であり、サプライヤーであり、そして日本人技術者である。その指導範囲は、中国自動車産業最後のネックと言われている熱処理にも及んできた。
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